アイルランド滞在記5(オキャロラン編)

 

17、18世紀のヨーロッパの音楽というのは、バロック時代

と呼ばれます。

 

大陸にあるドイツでは、J. S. バッハが教会音楽を中心に活躍し、

対位法などの音楽理論を確立しておりました。

 

アイルランドは大陸から離れた島国なので、それらの影響を

受けず、独自に音楽が発展していったわけですが、

 

その頃は、ハープなどによる吟遊詩人が弾き語りをして、

さかんに活躍していた年代のようです。

 

片やオーケストラ、片やソロプレーヤーということです。

ですので、音楽のタイプが大陸文化のそれとは大きく違います。

 

アイルランドではその頃、ターロック・オキャロラン

という、盲目のハープ弾きが国中を巡っておりました。

 

私は、ハープを弾くまでこの方の名前を聞いたことがありませんでしたが、

逆に、ハープを弾く方ならどなたでも知っている奏者、作曲家です。

 

大変ラッキーなことに、レッスンの合間に、その方の故郷、キジューという場所へ

連れて行っていただきました。

 

 

 

こちらが、キジューにあります、ターロック・オキャロランの

お墓です。

 

普通の民間の墓地の奥にありました。

石碑には、その「人となり」が書かれていて、

その下に、いろんな国のコインが置かれていました。

 

日本円もありましたから、この方の音楽を愛する世界中

の人が訪れていることがわかります。

 

この下には、実際にオキャロランの遺体が入っているそうです。

ほ〜、と感慨深くなります。

 

その当時、盲目の方は多かったそうです。

そして小さい頃から、ハープ学校なる所へ行って、勉強した

ようです。どうやら目が見えない方の職業でもあったようです。

 

 

確かに子供の頃から訓練しないと、目が見えない状態では、あのたくさんの弦を

弾くことは至難の業ですから、納得です。

そして、こちらがお墓から割と近くのKilronan Castle

といって、その昔、ここの城主にオキャロランが

仕えていたという所です。

 

今では古城ホテルになっていて、一般の宿泊のほか、

結婚式場などで使われているそうです。

 

石の国のアイルランド、古くからの建物はこうした

グレーの色がほとんどです。

 

それがなんとも歴史を感じさせて、よいのです。

そして頑丈そうに見えて頼もしいです。

 

 

中のティールームにご案内いただきました。

なんともラグジュアリーな気分です。

 

BGMはモーツァルトだったけれど、できたらオキャロランにして

いただけたら、もっとよいかも ^^)

 

イギリスですとこういう所、まず服装からきちんとしないと

入るのに気が引けますが、

 

そこはアイルランド、貴族などもいませんし、階級もありませんから、

割とラフです。

 

でも高級感はイギリスと負けず劣らずです。

 

そしてやっぱりこれです、スコーンと紅茶。

 

ジャムとクロッテドクリームももちろんですね。

ああ、幸せ。

 

そして、こういう時間に、その当時は、オキャロランの

ような雇われハープ弾きさんが、ポロロンと弾いて

くれていたわけです。

 

なんとも優雅ですね。

ぼんやりとそんな光景を想像しておりました。

 

 

きっとこんなお城に住まわせていただけたオキャロランは、

幸いだったことでしょう。

実際、ランクの高いハープ弾き(「バード」といいます)だったようです。

 

良き時代、アイルランドでハープが全盛期だった頃のことでした。